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ホーム>活用術>第7回 スイーツ販売「コルネット」〜主婦のアイデア商品、ヒットの秘訣〜

第7回 スイーツ販売「コルネット」〜主婦のアイデア商品、ヒットの秘訣〜

セールスポイントを見出す

ヒットする商品には、どんなものでも必ず“売れる理由=セールスポイント”があるものですが 、時に、商品そのもの以外に見出すこともあります。
浜松市の向井紫(ゆかり)さんが開発した「アイスコルネット」というスイーツは、商品そのものの独創性は もちろんのこと、それ以上に魅力的だったのは向井さんの商品開発ストーリーでした。

アイスコルネット、開発ストーリー

  • 小出センター長(左)に相談する向井社長と
    長男元気さん(右)

アイスコルネットとは、揚げたてのコルネパンの中に冷たいソフトクリームを入れた商品。そのオリジナリティの高さとおいしさで滑り出しは順調だったのですが、首都圏での展開など事業を拡大したいと考えているとのことで相談をいただきました。
大型テーマパークやアミューズメント施設の企画運営を手がけるナムコから、首都圏進出の誘いを受けているとのこと。経営者にとっては嬉しい提案に違いありませんが、私はひとつ懸念がありました。人気スイーツというのは、移動販売の「焼き立てメロンパン」や元祖だらけの「いちご大福」がそうであったように、模倣され、追随されやすいのです。そうなると商品を開発し最初に世に出した優位性が失われてしまう。ほかに何かセールスポイントとなる要素はないか・・・と考えるなかで、私は向井さんの人生そのものに目を向けました。
実は彼女は子どもがまだ小さい頃に離婚しており、それまで働いたことがなかったため生活に困窮。育ち盛りのわが子のためにおやつを食べさせたいと、揚げた食パンの耳に砂糖をまぶして工夫していたそうです。あるとき、これにアイスクリームを添えてみたところ、子どもに大好評で自身も新鮮な味わいに驚き、これを商品化したいと考えたといいます。
私は、これだ!と直感しました。シングルマザーの苦労や母の愛情がつまった開発ストーリー。消費者はこうしたエピソードに感情移入するし、多くの人の共感を得るに違いない。そう強く思いこのエピソードを全面に押し立てたPR戦略を考えました。

データベースで直感から確信へ

  • 「アイスコルネット」

ただそれだけでは感覚的に過ぎないので、新聞記事データベースを使って裏付けをとりました。 まず移動販売で成功しているスイーツのトレンドをチェック。メロンパンやクレープなど新規性に欠けるものばかりだったため、 オリジナリティは強みになると踏みました。また、ナムコが展開する食のテーマパークの状況(集客、市場性など)を調べたところ、 おおむね高い集客力を誇っていることも分かり、ナムコと組むことで事業展開に弾みがつくであろうと確信しました。
結果としてアイスコルネットは全国展開に成功し、現在、東京や埼玉、広島などで店舗を構えるほか、 マレーシアの大手飲食店チェーンと合弁会社を設立し東南アジアを中心とする海外展開にまで拡大するに至っています。 セールスポイントは商品そのものだけにあるのではなく、その開発ストーリーや経営者の人生など商品の周辺にも存在する、 と頭に置いていただきたいと思います。

アドバイスが販路拡大のきっかけに

小出先生は自分の辛い経験を親身になって聞いてくれ、どのように進んでいけばいいのかを丁寧に提案してくださいました。 できることなら隠したいと思っていた自分の人生を全面に出すことに抵抗は感じましたが、多くの人たちから声を掛けてもらうようになり、 力をもらいました。アイスコルネットの美味しさをもっと広めていけるよう、頑張りたいなと思っています。小出先生に感謝しています。

コルネット 向井紫社長

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