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ホーム>活用術>第5回 食用油製造販売「サトウ椿」〜アレンジ&チャレンジ〜

第5回 食用油製造販売「サトウ椿」〜アレンジ&チャレンジ〜

アレンジ次第でヒット商品に

どんなに商品力が高く技術力があっても、商品特性がなかなか伝わらない売り方をしている商品は沢山あります。そうした“惜しい!商品”に別の光を当て、アレンジを加えることによって、見違えるほど魅力的に変身し、たちまちヒット商品となったケースを紹介したいと思います。

最大の強みを見出し、仕掛ける

  • 椿油100%の他、植物油とブレンドした商品も並ぶ

いま、全国各地に、私がセンター長を務める富士市産業支援センター f-Bizのノウハウにならい、産業支援プロジェクトが立ち上がっています。その一つに、熱海市のA-bizがあります。A-bizが定期的に開催している地元の企業・個人事業主を対象とした個別相談会に相談にやってきたのが「サトウ椿」という、食用の椿油を製造販売している会社でした。
「食用の椿油が思うように売れない」という相談を受け、「食用?」と思ってしまいました。椿油というと、化粧品のイメージが強かったからです。しかし、サトウ椿さんによると、椿油はサラッとしていてクセがなく、酸化しにくいので天ぷらなど揚げ物にピッタリなのだとか。しかも、外資系高級ホテルの天ぷら店や、天ぷら専門店の天ぷら油として使われているといいます。
私はそこにピンときました。最高級クラス店の天ぷらのプロが選ぶ油なのだ。これこそが最大の「強み」では?と感じたのです。「天ぷら専用の油」を前面に押し出し、強みを明確にし、さらにターゲットを天ぷら専門店や高級料理店、そして高級志向の食にこだわる層に絞り込んだ戦略で仕掛けてはどうかと考えました。

データベースでチャンスを確信

この予測が的外れでないことを確認するため、データベースを用い、食用椿油の市場調査を行いました。「椿油」「食用」で検索すると、過去7年間で135件ヒット。さらに「天ぷら」で絞り込むと、たったの7件しかありません。記事の全文を1件1件チェックして読み込むと、天ぷら専門の椿油商品はごく少数しかなく、「隠れた名品」といった扱いでPRされていることもわかりました。希少性が高く、商品価値は高いのに、ほとんど知られていないのが天ぷら油としての椿油だということ。つまり、誰のための商品かターゲットを絞り込み、効果的な見せ方・伝え方ができれば、ブレイクするチャンスはある、と確信を得たのです。

  • 店舗裏の工房で椿油を製造する佐藤社長

「天ぷら専用の油」とパッケージにうたい、「からりと軽く揚がる」「サラッとして食材の風味を活かす」「劣化しにくい」といった椿油の特性を打ち出したところ、天ぷら専門店からの問い合わせが急増。メディアが注目した効果もあり、爆発的な売上を記録しました。
このケースからもわかるように、データベースは新しいチャレンジを促す“気づきの宝庫”といえるでしょう。

高級油の発注が倍増

化粧品としての需要はあるものの、食用としての椿油が売れない、と頭を悩ませていた時、小出センター長にアドバイスをもらいました。他の油と比べて価格は高めですが、“天ぷら専用”を全面的に打ち出したところ、東京を中心に和食などの料理店から次々に注文が入りました。また観光客の反応もよく、リピーターが一気に増えました。商品の売り出し方を変えただけで椿油の良さを広くPRすることが出来、とても感謝しています。

サトウ椿 佐藤秀幸社長

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