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第2回 破壊力を増しつつあるデジタル破壊

2018年1月21日静岡新聞掲載広告から転載

ようやくデジタル化に動き出した日本企業

 2017年はわが国でも「デジタル破壊」(Digital Disruption)に対する問題意識がようやく高まり出した年でした。デジタル・テクノロジーが社会の基本インフラの一つになったために、ビジネスモデル、ビジネスプロセス、組織構造の変革のみならず、デジタルテクノロジーを駆使するスキルとそれを担う新しい人材の獲得など、組織活動のあらゆる要素をデジタル・テクノロジーを活用できるように根本的に変革しないといけない。さもなければ、企業は破壊されてしまうというのが「デジタル破壊」の意味するところです。例えば、マーケティングは一気に「デジタル・マーケティング化」しています。SNS、あるいはアクセスしているウェッブサイトから個々人の好みを判断して、それに最適な広告宣伝をサイトを通じて個々の顧客に提供する「デジタル・マーケティング」は、今、もっともホットな職種の一つでしょう。



世界に3年遅れ

しかし「デジタル破壊」こそ、マネジメントが考慮しないといけない最重要経営課題の一つであるという認識が欧米で高まり出したのは、既に2014年のことでした。「デジタル破壊」に関する研究と対応策で世界の最先端を歩んでいるスイスのビジネススクールIMDがシスコの協力を受けてGlobal Center for Digital Business Transformation(DBT)を設けたのは2015年のことです。早速その年には世界12産業でのデジタル化の破壊度を指標化したリサーチ「Digital Vortex」(デジタル化の渦)が発表されています。2015年の調査で、デジタル化の真っ只中にあると指摘されたトップ5の産業は、テクノロジー、メディア・エンターテインメント、小売業、金融サービス、テレコムでした。  さて、昨年、早くも2回目の「Digital Vortex」の結果が発表されました。(図1)が示すように2017年の調査で、デジタル化の真っ只中にあると指摘されたトップ5の産業は、メディア・エンターテインメント、テクノロジー・サービス、小売業、金融サービス、テレコムというように、2015年の調査結果とほぼ同じ顔ぶれでした(図1)。

破壊度は要素以上に高いという認識

 ところで、今年の「Digital Vortex」調査で面白いのは、2015年と2017年の比較調査が行われていることです。まず「デジタル破壊」のインパクトについて。2015年では、(図2)が示すようにそのインパクトを「まあまあ」と認識していたビジネスリーダーが多数派でした。「デジタル破壊」のインパクトを「大きい」と認識していたビジネスリーダーも3割ほどいたのですが、「業界を変革する」とまで考えていたビジネスリーダーは1割以下とごく少数でした。しかし2017年の調査によると、「デジタル破壊」のインパクトを「大きい」と認識するビジネスリーダーがほぼ過半数を占めるようになり、「業界を変革する」とまで認識するビジネスリーダーも一気に3割近くにまで増えたのです。「デジタル破壊」は、当初考えていた以上の破壊力を持つと認識するに至ったビジネスリーダーが急速に増え出していることが、この結果からわかります。

破壊度が高いから動けない

 そしてこの点が、デジタル化への対応に関する次の興味深い調査結果と密接に関連していると考えられます。(図3)が示すようにこの2年で、デジタル化を認識していない、あるいはデジタル化に適切に対応していないと回答したビジネスリーダーは43%から40%に減少しています。またデジタル化に積極的に対応していると回答したビジネスリーダーも、25%から31%に増加しています。しかし裏返せば、依然としてデジタル化に動けていないビジネスリーダーが過半数近くいるし、積極的に動けているビジネスリーダーも3割程度に過ぎないということなのです。デジタル化の破壊度は当初、考えていたよりも大きいという認識が高まりつつあるにもかかわらず、この結果なのです。これこそ、デジタル化が「デジタル破壊」と呼ばれる所以です。デジタル化に向けた変革をリードするのは、なかなか容易ではない。この点に日本のビジネスリーダーはもっと大きな危機感を持たないといけないでしょう。

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