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ホーム>デジタル時代のビジネスと社会>第1回 デジタル破壊が襲ってくる

第1回 デジタル破壊が襲ってくる

2017年6月静岡新聞掲載広告から転載

AIとデジタル化の時代

「10年後までに今の企業の40%が姿を消すだろう」(ジョン・チェンバース、シスコシステムズ前CEO)「ウォールストリートにシリコンバレーがやってくる」(JPモルガン・チェースのジェームズ・ダイモンCEO)「これから5年の内に、各産業でトップ10企業の4割はランキング外に追いやられるだろう」(IMD:スイスにある世界トップクラスのビジネススクール)

「AI(Artificial Intelligence、人工知能)とデジタル技術が世の中を大変革しつつある。だからこそ急いでAIとデジタル技術を使ってビジネスを大変革しないと自社には未来がない。」このような緊迫した危機感を持った声が欧米の経営者の間では高まっています。デジタル技術は人々の生活を大きく変える可能性を秘めています。デジタル技術を活用すれば、個々の顧客にカスタマイズした商品が、今よりもはるかに安く、早く提供することができるようになるでしょう。好みに関しても、サイズにも関しても、自分にぴったりの服が今よりはるかに安く、早く、手に入れることができるでしょう。決済も送金も、わざわざ銀行店舗に行かなくても、スマートフォンで簡単に片付くようになっていくでしょう。タクシーを利用する時にも、乗る前に良い運転手かどうか分からない、行き先が分からない、経路が正しいか分からない、料金の支払いが面倒だ、といった不便から人々は解放されることでしょう。人々の暮らしが今より格段に便利で快適になる可能性をデジタル化は秘めているのです。その社会的なインパクトはきわめて大きいのです。 デジタル技術がこのような大きなインパクトを人々の暮らしに与える大前提は、あらゆる産業が、つまり製造業もサービス業も、デジタル技術を使って現在のビジネスモデルを変革していくことです。今と同じことを行っていては、デジタル化を駆使した新しい価値の提供はできないからです。ただし変革の領域は、ビジネスモデル、人材、スキル、知識、組織、マネジメント、カルチャーなど多岐にわたることでしょう。現在の時代が、デジタル革命とか、第4時産業革命と呼ばれるのはそのためです。革命に匹敵する大変革が企業には求められているのです。しかしこれは企業にとっては難題です。なぜならば、企業変革は容易ではないからです。そもそも変わることに人間は抵抗を示します。また変革の際にも現在の日常業務を停止するわけにはいかないのですから、変革と現業業務の間のバランスを取るのも難しくなります。デジタル化を急げといっても、デジタル化前の仕事がいきなりなくなるわけではないからです。

デジタル破壊

デジタル化に向けた変革は容易ではありません。デジタル技術に対応できずに、あるいはそれを駆使する変革に失敗し、事業撤退、最悪な場合には倒産にいたる事態こそ、近年、欧米のビジネス界で流行語となっている「デジタル破壊」(Digital Disruption)の意味する所なのです。既存企業は変革ができなければ、競争優位を失い、時代から退かないといけません。デジタル技術を駆使した新しい価値の提供は、新興企業に委ねることになるのです。既にこのような新興勢力の活躍は、いろいろな分野で起こっています。ソーシャルネットワークという新しい世界をリードしているのは、2003年にその前身がスタートしたフェイスブックです。電気自動車の世界をリードしているのも、これまた2003年にスタートしたテスラ・モーターズです。デジタルの世界で新興勢力の目覚しい活躍が続く中で、現在のビジネスモデルを創造的に破壊し、新しいビジネスモデルを創造しないと、既存の企業はデジタル技術の渦に巻き込まれて破壊されてしまう危険性が高まっています。しかし、そのために残された時間は短い?5年?というのが欧米での今の認識です。

日本でも既に変化は着実に進行

日本でも変化は着実に進行しています。日本経済新聞では既に昨年の11月から、決算短信はAIで書かれています。決算短信は会社名と業績を除けば同じ文章です。こうした定型的な(ルーティンな)仕事は、AIが行った方がはるかに効率的で正確なのです。国内最大のファッション、オンラインサイトであるZOZOTOWNを運営するスタートトゥディの企業価値は、既に三越伊勢丹ホールディングスのような百貨店、オンワードホールディングスのような大手アパレルを上回っています。また世の中にますます豊富なデータが溢れるようになり、それらを分析すると、個々人にあった最適な商品、サービスを提供することができるようになります。そのために必要なのは「データ分析」(Data Analysis)という新しい職種です。AIの活用やデータ分析を担う人々は従来のホワイトカラー、ブルーカラーと異なる「ニューカラー」と呼ばれ、それらの育成を開始した会社も現れています。その代表がユニクロを持つファーストリテイリングです。  AIとデジタル化の進展は、我々の生活に様々な新しい価値を提供することでしょう。その一方で、デジタル化が生活の様々な領域で進む中で、セキュリティの問題はより複雑化し、深刻化する可能性があります。また定型仕事がAIで行われるようになると、雇用喪失、職業転換という問題も起こって来るかもしれません。AIとデジタル化の発展は、我々一般市民の生活に様々な影響を与える可能性があるのです。したがって、我々はこの問題に無関心であってはなりません。今回の連載ではAIとデジタル化の進展の最前線を追いながら、その可能性と課題を探っていきたいと考えています。

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