改正下請法に備える!③
【企業情報活用最前線】サプライチェーンの構造を理解し取引関係を透明化
2025年11月25日
今日のビジネス環境は、原材料の高騰や地政学的緊張など、予期せぬリスクが複雑化しています。サプライチェーンのわずかな「ゆらぎ」が、企業の存続に直結しかねない時代です。このような状況下で、企業情報の活用は「リスクを管理し、成長機会を見出すための戦略的なアクション」へと進化しています。なかでもサプライチェーン(仕入先、販売先情報)の確認は、企業経営における中心的な課題となっています。
2026年1月施行の「中小受託取引適正化法」(取適法)では、委託事業者に取引先の従業員数の把握が義務付けられ、企業規模の確認が求められます。これは下請取引の適正化を目的とした重要な一歩ですが、同時に「取引関係の透明性」の実現という、より大きな方向性を示唆しています。健全な企業運営のためには、法的な義務の先にある取引対象企業の「つながり」(依存度)までを日経テレコンで把握し、サプライチェーンリスクに備えることが重要です。
日経テレコンで実現するサプライチェーンの「可視化」
日経テレコンは「取引関係の透明性」を実現するための強力なツールです。企業単体の詳細な情報だけでなく、取引関係の構造まで可視化できます(企業検索メニューの利用法はこちら)。以下の企業情報データベースから、主要なサプライヤー・カスタマーとの取引関係を確認できます。
①東京商工リサーチ企業情報/帝国データバンク企業情報
②FactSetサプライチェーン情報
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FactSet Research Systems(米国)が提供するサプライチェーン情報です。国内の上場企業(約1,600社)のサプライヤー、カスタマー、パートナーの情報をそれぞれリスト形式で提供します。
対象企業が公開した情報に加え、相手先企業が公開した情報もあわせて収録しているため、より多くの関係を一望できます 。企業名、収入に対する取引額の割合、売上高、業種、国籍などを確認できます。 FactSetサプライチェーン情報の詳細はこちら |
これらの情報を活用することで、集中リスクのある企業や取引先を介した間接的な影響先を特定できます。たとえば「自社の主要な部品供給元であるA社が、実は特定の海外企業B社に極度に依存している」といった集中リスクのある構造を把握することで、B社の動向まで視野に入れたリスク管理が可能になり、予期せぬ供給途絶に備えることができます。
ESG・経済安全保障時代における企業価値向上 |
| サプライチェーンの構造的理解は、単なるリスク管理にとどまらず、企業価値を高め持続的な成長を実現するためにも不可欠です。 |
取引先に人権侵害や環境破壊につながる問題がないかを確認することは、企業の社会的責任(CSR)として欠かせません。サプライヤーの透明性を高めることは、自社のESG評価向上に直結します。
重要な技術や部品の供給源がどこにあるのか、特定の国や地域への依存度が高すぎないかを把握することは、企業や国の安全保障の観点からも重要です。 |
【一歩進んだ活用法:特定の業界でESGリスクが高い企業を抽出する】
日経テレコンは、膨大な企業情報からリスク特性を持つ企業を戦略的に抽出・特定するための強力な「フィルター」としても機能します。企業検索メニューは、企業名での検索だけでなく、業種や企業規模などの条件に当てはまる企業のスクリーニング検索が可能です。たとえば特定の業界でESGリスクの高い企業を抽出する場合は、業界コードを活用し以下の手順で絞り込みます。

- 【企業検索メニュー】で、データベース「東京商工リサーチ企業情報」または「帝国データバンク企業情報」のどちらかを選択
- 詳細条件を開き、追加条件から業種コードを選択し、目的の業種コードにチェックを入れて「OK」をクリック
- 本社所在地や資本金、従業員数などの検索条件を指定し「検索」をクリック
- ヒットした企業と自社の仕入れ先・販売先等との取引関係を照合し、直接的・間接的な取引関係の有無と依存度を確認
- 【記事検索メニュー】で、4で照合した「企業名」と「労働」「ハラスメント」「安全衛生」などのキーワードを組み合わせて検索し、過去のトラブルや人権侵害、労働環境リスクなどを確認
(記事検索メニューの検索方法はこちら)
潜在的なESGリスクがサプライチェーンのどのルートを通じて自社に波及するかを特定し、リスクを未然に防ぐ。さらに、これを競争優位性という機会に変える。貴社の取引関係の透明性を実現し、強靭なサプライチェーンを構築するために、日経テレコンをご活用ください。

