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ホーム>防災新時代>第8回 首長の防災意識 〜長泉町編〜

第8回 首長の防災意識  〜長泉町編〜

2015年8月静岡新聞掲載広告から転載

長泉町・遠藤日出夫町長に聞く

長泉町では、人口増加に伴う災害リスクを考慮した土地利用政策と新規住民に対する防災教育の両者を考えないといけない。
人口増加については、「赤ちゃんが月に40~50名くらい産まれ、亡くなる方が20~30名なので自然に増えています。私は長泉都民と呼んでいますが、都内からの転入者も多く又約500世帯が長泉町に住みたいと待っていると聞いているが、住宅地が少なく、分譲すれば即完売で、人口も増え学校が足りなくなるなど、そちらの方で頭が痛いんですよ」長泉町の遠藤日出夫町長は話す。この土地利用については、「町の南側に人口や施設が集中している。北部地区の山沿いにも居住エリアを拡大していく必要はある」と言う。

将来の災害リスク解消を

  • 遠藤日出夫長泉町長との
    インタビューの様子

災害の脆弱性を高める要因に、人口増加がある。人口増に対応するために、これまで人が住んでいなかった土地を無理やり整備する。その結果、今までは災害に至らなかった、大雨による土石流など、災害が発生する可能性が高くなる。
長泉町は、土地利用政策を防災上の観点から十分に検討し、将来、脆弱性の増加を可能な限り解消していくことが必須である。
「静岡新聞データベースplus日経テレコン」によると「長泉町+人口」で566件がヒットする。この中で、「町民根付く“花の長泉”に人口増でも危機感、転出防止へ一手特産クレマチス活用-町職員有志(2015/06/30 静岡新聞 夕刊3ページ)」によると、長泉町は、持ち家率は県内で最も低く「住みたい町」から「住み続けたい町」へ進化させなければならない―と危機感を抱く町職員の姿が伝えられている。
この点、住民は持ち家による居住の制約がないため、災害を契機に転出することは十分に考えられる。

“長泉都民”への防災教育

防災教育については、新規住民に対し、引越しと同時に(行政手続きで新規住民と行政が顔を会わせる機会は多い)、地域の地形や地盤など自然環境や歴史を伝えることが必要である。
長泉町は、「防災上の課題は、地理的には少ない。津波は来ないし、富士山が爆発しても溶岩流の流れ着く可能性は低い。しかし、だからといって住民には、やはり何が起きるか分からないし、常日頃から何が来てもできるようにしといて欲しいという事と、一緒になって考えましょうという姿勢でやっている」が、住民の危機感は薄い。「いざという時には避難所に行けば良い。避難所は快適だという甘い認識がある。だから、避難所は劣悪環境だと伝えているが、伝わりにくい」。1930年11月26日 (昭和5年) 北伊豆地震 M=7.3や1854年12月23日 (安政元年) 安政東海地震 M=8.4など(静岡市町村災害史)、過去に地震による被害を受けていることは事実である。

“株式会社”長泉町

総務省の財政力指数をみると、長泉町は全国で18位、静岡県内ではトップである。財政状況が良い点は防災において、どのようなプラスとマイナスがあるのだろうか。ここでは、被災地の支援についてお話を伺った。遠藤町長の在任期間中は、自然災害により長泉町が大規模な被害を受けたことはない。その一方で、東日本大震災など、被災地の支援を行っている。
東日本大震災の時に、被災地では「どんな物資よりも現金が役立つ」と考え、職員に指示し、直ちに被災地に2000万円を送金した。近隣市町にも呼びかけたが、結局、当町と裾野市のみが実行した。こうした直接的な財政支出について、反対意見もあるが、「そんな事を考えていたら何もできない」と力強い。「私は株式会社長泉と言っていますから、お金に関して厳しい」という。
財政的な余裕は、支援をする余裕につながる。支援した経験から得られた災害対応上の課題は、長泉町の防災上の課題の再点検に対する投資とも言え、得られた教訓を長泉の防災に活かすサイクルが大切である。

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