改正下請法に備える!②
「企業・財務・市況」の三位一体交渉術~公正な協議はデータが決め手
2025年11月6日
2026年1月に施行される「中小受託取引適正化法」(通称:取適法)では、「協議に応じない一方的な代金決定の禁止」が導入されるなど、委託事業者に対して、受託事業者との間でより対等かつ誠実に価格協議を行う義務が課せられます。
人件費や原材料費の高騰が続く現代において、受託事業者からの価格改定の申し入れや、適正な価格設定の協議には、「客観的で合理的な根拠」が不可欠です。今回は、日経テレコンの豊富な情報源を活用し、「企業情報」「財務情報」「外部環境情報」の三位一体で交渉・判断の精度を高める方法をご紹介します。
1.企業情報と財務データで受託事業者の「現状を把握」する
日経テレコンでは、資本金や従業員数などの企業情報だけでなく、東京商工リサーチや帝国データバンクなど信頼のおける調査会社が入手した最大5期分の財務データを入手可能です。
企業情報に加え、財務データを活用することは、受託事業者の現状を理解し、公平かつ建設的な協議の土台を築くための材料となり、これは法令遵守の観点からも重要です(企業情報の活用についてはこちら)。
財務データ活用のメリット
【経営状況の把握】
業績や資本金などの推移から、受託事業者の経営基盤の安定性を客観的に評価できます。
【価格転嫁の背景理解】
利益率の推移を把握することで、「なぜ価格改定が必要なのか」、その背景を理解する一助となります。たとえば、コスト増に対する正当な対応なのか、特定事業の収益性の改善あるいは悪化によるものなのか、といった判断材料が得られます。
「財務情報」の利用方法

- メインコンテンツから「企業検索」をクリック
- データベースを指定
- 会社名などの検索条件を設定し、「検索」をクリック
2.記事検索で「外部環境」を可視化する
受託事業者からの価格改定の申し入れの妥当性や、自社からの価格交渉の合理性を検討する際には、市場全体の動きである「外部環境」のデータが決定的な役割を果たします。日経テレコンに収録されている国内外の記事情報を検索することで、業界全体のコスト動向や賃金水準など、交渉材料となる客観的な事実を広範に収集できます。
外部環境に関する情報を収集するためのキーワード例
【原材料価格の推移】
受託事業者のコスト増が、国際・国内市場の動向と整合性があるかを検証し、価格転嫁の幅の妥当性を客観的に検討します。
・キーワード:「アルミニウム 価格 高騰」「半導体 市況」「包装資材 価格改定」など
【賃金・人件費の動向】
人件費増加に伴う価格改定の背景を理解します。業界・地域における適正な賃金水準を把握し、協議の根拠とします。
・キーワード:「製造業 賃金水準」 「中小企業 賃上げ」「〇〇業界 採用難」など
【競合・市場全体の動向】
競合他社の価格戦略や、業界全体が直面している課題を把握し、市場競争の観点からも適正な価格を導き出します。
・キーワード:「○○部品 供給不足」 「物流コスト 上昇」 「〇〇業界 設備投資」 など
「記事検索」の利用方法

- メインコンテンツから「記事検索」をクリック
- キーワード、期間などの検索条件を設定
- 「検索」をクリック
- 見出しの表示順を指定し、「見出しを表示」をクリック
透明性の高い交渉は、受託事業者からの信頼の獲得にもつながり、強靭なサプライチェーンを構築するうえで欠かせない要素です。日経テレコンの「企業情報」「財務情報」「外部環境情報」の三位一体のデータ分析を、取適法が求める公正かつ質の高い交渉にお役立てください