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ホーム>デジタル時代のビジネスと社会>第9回 Covid-19のチャレンジが意味すること

第9回 Covid-19のチャレンジが意味すること height=

2020年6月静岡新聞掲載広告から転載

Covid-19が浮かび上がらせた問題

 新型コロナウイルス(Covid-19)の感染者の広がりに歯止めがかからない。当初、中国、とりわけ武漢に世界の注目が集まっていた新型コロナウイルスの広がりは、3月にはヨーロッパに転じていった。とりわけイタリアにおける急速な感染者と死者の増加に世界は驚愕した。ヨーロッパは地理的につながっているから、感染者の急速な増大がスペイン、フランス、スイス、ドイツでも発生した。島国イギリスも例外ではなく、感染者数のこれ以上の増加を防ぐべく、ヨーロッパの各国はロックダウンによって、感染者数増大の封じ込めに向かった。4月になると感染者数の拡大はアメリカに飛び火し、イタリアを上回って世界で最も死者数が多い国となった。新型コロナウイルスの感染が世界中に広がっている。
 Covid-19は様々な問題を浮かび上がらせている。それを示すのが、世界を代表するイギリスの経済週刊誌『エコノミスト』のカバーストーリー(巻頭記事)である。3月になってヨーロッパで新型コロナの感染者が急速に拡大すると共に、巻頭記事では、連続して新型コロナによって浮かび上がった問題が取り上げられている。例えば次のように。「世界経済に対する正しい薬」(3月7日-13日号)、「パンデミックの政治」 (3月14日-20日号)、「閉鎖」(地球の図上に、お店に掲げられることが多い「閉鎖」の札が掲げられているグラフィックス)(3月21日-27日号)、「次の大災害:発展途上国におけるCovid-19」(3月28日-4月3日号)、「残酷な微積分:命、死、経済の間の厳しい選択」(4月4日-4月10日号)。このような1ヶ月の巻頭記事の変遷は、新型コロナが、政治、経済、社会、保険衛生など、さまざまな問題に影響を及ぼしていることがわかる。

Playing Defence and Playing Offence

 新型コロナの広がりによって、在宅勤務が奨励され、マスクの着用、石鹸による手洗いの奨励など、とかく受身的な対応に我々の関心は集中しがちである。つまりPlaying Defence(守る)である。もちろん、危機に対して適切な対応を取ることを疎かにしてはいけない。しかしながら、それと同時に現在の危機を克服するために、新しい取り組みに着手することを疎かにしてはいけない。つまり、Playing Offence(攻める)である。
 一例がテレワーク、ネットを使った在宅勤務である。Covid-19は、ポジティブに捉えるならば、業務のデジタル化を推進する絶好のチャンスである。セキュリティの問題が提議されており、それは英知を結集して解決しないといけないけれども、今はオンライン教育の推進にとってチャンスである。その際にも、オンライン教育は教室でのオフライン教育に劣る代替手段ではなくて、オンラインでしかできない革新的なテクノロジー(例えば、受講学生のオンラインでの学習理解を把握するアナリティクスの活用など)を使い、教室でのオフライン教育では実現できないユニークな教育機会と認識すべきである。新型コロナ危機に伴うさまざまな制約を、従来の仕事を変える好機、イノベーションに活用するというPlaying Offence(攻める)なマインドセットと行動が今、求められている。

ビデオ会議アプリを使用したオンライン授業開始に向け、画面越しに生徒と
会話する本川根中(川根本町)の教員(2020年4月25日、静岡新聞朝刊)

すべてはリーダーシップ

 しかし全ては、とどのつまりリーダーシップにつきる。今回の新型コロナによってもたらされている危機は、リーダーとして何を意思決定の判断の基準としなければいけないのかという問題を我々に突きつけている。まさに『エコノミスト』4月4日-4月10日号「残酷な微積分:命、死、経済の間の厳しい選択」が提示する問題である。国民の生命の危機に直面して、何に優先順位を置いてリーダーは決断すべきなのか。経済の繁栄も、国民の生存無くしてはあり得ないことを考えれば、意思決定の判断基準は自明と考えられる。しかしそれが実際に行われないならば、それはそのようなリーダーを結果として選んだ我々の問題として、日本国民一人一人が真摯に反省しないといけない。またリーダーシップの問題も、単に国家レベルで考えればいいと言うわけでもない。新型コロナウイルスの広がりが、地域的な違いを伴っている状況を見れば、問題の解決は国家権力の強化による中央集権化にはなく、各自治体におけるリーダーシップの発揮にあることは自明である。つまりリーダーシップの発揮は、ローカルにも求められる。地域のリーダーが権限と財源を持ち、そしてまたそのような地域が知識の共有を通じて、ネットワークを形成する。その結果、Covid-19に伴う問題解決のためにスピーディーで柔軟な対応ができる。つまり今は、社会問題に対する新たな革新的アプローチを根づかせる絶好の機会でもある。国レベルであれ、地方自治体のローカルレベルであれ、そしてまた企業レベルであれ、危機の時にすべてはリーダーシップの資質に起因するということを我々は今、現在進行形で見ている。Playing DefenceとPlaying Offenceのマインドセットと行動が、経営者を含め、あらゆるリーダーに今、求められている。

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