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ホーム>活用術>第10回 富士がんもいっち「金沢豆腐店」〜”スイーツがんも”を地域の起爆剤に〜

第10回 富士がんもいっち「金沢豆腐店」〜“スイーツがんも”を地域の起爆剤に〜

商店街衰退は外的要因?

地方の商店街は衰退しているとよくいわれます。確かに全国どこの商店街も似たり寄ったりの状況でしょう。 なぜ商店街は衰退したのでしょうか。その理由として、大型ショッピングセンターが参入してきたからとか、駐車場がないからなど、 さまざまな外的要因が挙げられがちです。
しかし、私は「本当にそうだろうか?」と思わずにいられません。なぜなら、交通の便が悪く、辺ぴな場所にありながら人気のレストランや宿、 店舗はいくつもあるからです。つまり、そこに行く理由、魅力がないから人が集まらない、売れない、というのが問題の本質だと私は考えています。

老舗豆腐店の「魅力」とは?

  • スイーツがんも

では、どうしたら「魅力」をつくることができるのでしょうか。富士市で100年あまり続く老舗豆腐店「金沢豆腐店」の事例で考えてみましょう。
かつて富士市に50軒以上あった豆腐店はいまや6軒。大量生産・安価な価格帯で商品を卸す大手業者に押され、苦境に立たされるなか、打開策を求めての相談でした。
 私がまず考えたのは、毎朝手作りしている“まちの豆腐屋さん”の豆腐は、大手メーカーのものより新鮮でおいしい、ということ。つまり「魅力」です。 ただ、基本食ともいえる豆腐のおいしさを消費者に見直してもらうには、何か呼び水となるようなヒット商品がほしい。
そこでデータベースを使って、豆腐業界の推移を調べてみました。すると豆腐専門店の廃業率は予想していたとおり高かったのですが、 一方で新しいイノベーションはないか「豆腐」「新商品」のキーワードで検索すると、「男前豆腐」や機動戦士ガンダムのキャラクターの形をした 「ザクどうふ」などのヒット商品が生まれ、いずれも新たな豆腐ファンをつかむことで売り上げを伸ばしていることがわかりました。

地域限定の味を新商品に

きっかけさえつかめば、豆腐にも活路はある。そう確信し、金沢豆腐さんと相談を進めるなかで生まれたのが「富士がんもいっち」です。これは富士地域限定で昔から親しまれている伝統食で、他地域では、がんもどきの類にあたる、「味付けがんも」の特性を生かしたサンドイッチ。甘く味が濃いので豆腐バーガーのようにパンに挟んでおいしいのでは、という発想から開発した新商品です。がんもどきのサンドイッチ?という発想のユニークさとこの地域限定の味ということでテレビに取り上げられたことをきっかけに大ブレイク。県外からもお客さんが来るようになり、定番の豆腐の売り上げも急増、地域の豆腐店に活気が戻りました。
商店街全体での活性化を考えると大変そうに思えますが、「街」は「個店」の集まりです。魅力ある個店が増えることで地域全体の活性化につながるのではないでしょうか。

富士地域の豆腐屋が一致団結

100年以上も前から地元で食べられている甘い味付けのがんもどきの売り方をf-Bizに相談したところ、“スイーツがんも”というネーミングとパンに挟んだ商品はどうか、と提案されました。
斬新なアイデアに戸惑いましたが、意外にマッチする味で商品化が決定。すると、今まで関心を示さなかった人たちが興味を持ってくれたり、遠方から買いに来てくれたり、と2~3割お客さんが増えました。
スイーツがんもという共通な食品が出来たことで、富士地域の豆腐屋の強い結びつきを感じる事が出来ました。
豆腐屋同士がみんなで盛り上がっていければいいなと思っております。

金沢豆腐店 店主 金沢幸彦さん

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