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個人も組織も成長するワークライフバランス
佐々木 常夫氏インタビュー

佐々木 常夫氏

働き方改革を実現する
「7つの提案」

佐々木常夫マネージメント・リサーチ 代表取締役
佐々木 常夫(ささき・つねお)氏

 「働き方改革」の議論が高まっている。業績向上との両立で悩んでいる経営者も多い。 先進国のなかでも最低クラスの日本企業の労働生産性を高め、長時間労働を是正するにはどうすればよいか。管理職、経営者として家族を支え、人材を育て、企業を再建してきた「働き方改革」ご意見番・佐々木常夫氏がビジネスリーダーに向け熱く語った。

働き方改革を実現する「7つの提案」

プロフィール

佐々木常夫マネージメント・リサーチ 代表取締役
佐々木 常夫(ささき・つねお)氏

1969年東京大学経済学部卒、東レ入社。繊維事業企画管理部長、プラスチック企画管理部長、経営企画室長などを経て2001年同社取締役、03年東レ経営研究所社長。 10年から現職。自閉症の長男を含む3人の子どもと、肝臓病とうつ病の妻の世話をしながら、さまざまな事業改革に取り組む。内閣府男女共同参画会議議員、東京都男女平等参画審議会会長、大阪大学法学部客員教授なども歴任。 「そうか、君は課長になったのか」「上司の心得」「リーダーの教養」など著書多数。

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1. いまなぜ「働き方改革」なのか

――日本企業のホワイトカラーの生産性の低さは何に起因しているのでしょうか。

 リーダーである経営者が気がついていないか、気づいていてもやる気がないかのどちらかでしょう。製造現場では生産性向上は至上命題であり、やらなければ企業間競争を生き抜くことはできません。日々の仕事そのものが生産性向上と結びついています。一方、ホワイトカラーの間では「もっとがんばれ」といった精神論がはびこっています。 「働き方改革」はいまに始まったことではなく、企業が存続する限り常に行うべき経営の基本事項です。働き方改革の遂行はリーダーの基本的役割(ミッション)だと経営者は認識する必要があります。 もちろん、経営者にとっての責務は何よりも業績向上です。長時間労働を善しとしない私でも、業績不振の子会社を再建したときには月100時間以上の残業を続けたこともありました。堅調な業績を伴ってこそ、経営者は社員の幸せを考えることができるのです。

 また、日本では二宮尊徳的行動を尊重する風潮が残っており、長時間労働を肯定する労働観や価値観、倫理観も背景にはあると思います。しかし、長時間労働を改革しなければホワイトカラーの労働生産性は上がりません。 ただし、工場とは異なり、サービス部門は組織ごとに効率化スキルが異なるため、各組織で効率化スキルのノウハウを構築することが不可欠です。

 長時間労働で偉くなった人たちの家庭は、半分は崩壊しているといわれています。私自身は、「家族の成功は、仕事の成功に勝る」という考え方で働いてきました。 家庭が幸せでなければ、そもそも働くことに何の意味があるのでしょうか。働き方とは人生への問いかけにほかならないと思います。

――長時間労働や残業をなくすには何が必要でしょうか。

 まず、トップの意識改革が重要です。トップの価値観は会社全体に影響するものであり、トップ自らがリーダーシップを発揮して改革を遂行し、労働生産性の高い社員を育成する必要があります。 社員もまた、人生観、価値観、家族観を問い直し、転換し、自己の真の幸福のために働くのだという自覚をもつ必要があります。 家族を犠牲にして出世するという価値観は過去のものであることを経営者は胸に手を当てて問うてみてください。私は家族を支えながら社員を育て、いまでは子ども、孫に囲まれ本当に幸せな時を送っています。

 ホワイトカラーの生産性向上が精神論で語られることが多いのは残念なことです。それが長時間労働を生む原因にもなっている。必要なのは具体的な生産性向上のためのマネジメントスキルを確立すること。 そのための知恵は現場にありますが、現場には余裕がありません。トップには価値観を示すだけでなく、社員が考える場を提供し、現場の知恵を引き出すことが求められます。社員は知恵を出し合い、現場の長は最もよいと思われる提案を評価し、まず採用してみる。 生産性を上げる社員のモチベーションをどうアップさせるか、これも重要です。

――どこにどのような課題があるとお考えでしょうか。

 階層や抱えている事情によって、課題は多種多様です。20〜30代の若手社員は、仕事の基本やコミュニケーションの取り方がまだ十分ではない人もいます。上司が「俺の背中を見て学べ」と言っただけでは、育てるのに時間がかかり過ぎます。 初期段階では「優秀な人を見習う」ことも大切ですが、教え方を工夫する必要があります。優秀な人は具体的にどのような仕事の仕方をしているのか、そのスキルを共有できれば全体のスキルも上がります。 また、専門職の中には50代の社員もいると思います。そうした人の中には、チーム内での仕事の仕方に戸惑っている人もいるかもしれません。個々の社員だけでなく、チームとしてどう生産性を上げるのか、チーム全体での意思疎通が欠かせません。

 一方、育児や介護を抱えている人は時間的制約があるため、効率アップの努力をしている人がたくさんいるはずです。そうした人たちの知恵を共有化することも大切です。 ホワイトカラーの生産性向上は組織のマネジメントの問題です。できていない、教わっていない経営者が多いというのが実情でしょうが、これは経営の通常業務だということを肝に銘じ、組織全体で取り組まなければ実の上がらない課題です。

2. 働きやすい会社にするために管理職がなすべきこと

――働きやすい会社にするために、管理職には何が求められるでしょうか。

 生産性向上マネジメントの実行戦略で一番重要なのは、「組織にとって一番重要なのは人」だとリーダーが認識することです。モノ・カネ・情報も重要な経営資源ですが、最も重要なのはヒトです。 とはいえ、社員にやさしい会社でも利益の出ない会社ではだめです。儲かっている会社は、社員に厳しい。ただ、一番重要なのが社員だということが明確になっていれば、リーダーが何をすべきかは自ずと明らかになるはずです。

 リーダー自身はプレー時間をできるだけ減らし、周囲を見て考える時間を作るべきです。優れた人材を入れる。優れた人材を育てる。彼らが働きやすい環境を整える。彼らが自己実現できるようにする。 彼らに希望を持たせる。幸せになってもらう。そのために何をすべきか、それ考え実行するのがリーダーの仕事です。

――効率化のポイントはどこにあるのでしょうか。

 コミュニケーションと信頼が、効率化の両輪です。私は課長時代、残業を半減させました。まず部下に1週間の工程表を作らせました。上司は部下がどのような仕事にどれだけ時間をかけているのかをあまり知らない。 部下は部下で、この仕事は何時間でやろうなどと思っていない。とにかく始まり、終わったときが終わったとき。これではタイムマネジメントとはいえません。 ですから、1週間にやるべき仕事、たとえばこの日は3時から会議、5時から書類作りと全ての仕事を列挙させる。それを見ながら、「会議は1時間でやりなさい」「この書類は作らなくてもいい」「この間のあの書類を使えば半分の時間でできる」と計画を修正させる。 実績が出たら当初の計画と比較して、効率化の方法を皆で議論し、問題を共有化する。そうすると、どうすれば効率化できるかが見えてくる。こうしたことの積み重ねが時短につながり、残業が減りました。大切な点は、仕事の仕方の見える化と共有化が「仕事の品質基準」になるということです。

 また、上司力と部下力をつけることも大切です。上司は部下によく教え、部下は上司によく聞くことです。上司は忙しいですから、「分かったな」「いいな」と適当なことしか言わない。これではだめです。言われた部下は分かっていないまま仕事をする。こうしたことが効率化の阻害要因になります。 部下にも部下力が必要です。部下は上司を使って仕事の結果を出すべきです。それには上司が何を求めているのかをきちんと聞く。聞かないから、無駄なことをして長時間になる。命令されたら実行する前に聞き、考え、議論する。やらなくてもいいことを確認することも仕事の効率化には重要です。

 上司と部下とはいえ、お互いに人間です。年齢不問で「さん」づけで呼び合うことも知恵の一つです。お互いが人としてリスペクトし合うフラットな関係を構築することで、部下のモチベーションも上がりやすくなります。職場が明るくなり、それが家庭を明るくすることにもつながります。

――組織としての情報共有の効率化についてはどうでしょうか。

 いまはITという強力なツールがあります。連絡事項も人を介さないで済ますことができることの方が多い。私自身、社員1人にパソコン1台の導入を進めたことが、残業減らしの最大の武器になった経験があります。

 また、役員が出社すると机の上には新聞の切り抜きが置いてある会社も多いと思います。広報部門の人の早朝仕事ですが、いまだに手作業で切り抜いているなら、大きな無駄です。もちろん情報は重要で、知らないために犯す失敗は避けなければなりません。 その意味では、日本経済新聞社のデータベース活用は画期的で、圧倒的な質と量の情報を見出し検索でチョイスし、必要な情報に簡単にアクセスすることができます。私自身も、大いに利用させてもらっています。 日経を読むのは仕事人の常識。日経の情報をITと組み合わせて仕事に多角的に使えるようになったのは大きな進歩だと思います。

 働き方改革は終わりなき通常業務です。使えるツールはどんどん使う。どのようなツールを使えば無駄な時間を省くことができるか、それを考えるのも働き方改革の第一歩です。

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